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CASE 008
回り道した20代。
その経験があったから、
自分の大事な軸に
気付けました。
内藤
(ないとう)
雅美
(まさみ)
34歳
- <前職>
旅行業界向けITサービス会社
コールセンター業務
- <現職>
Sansan株式会社
運用コンサルティング
経歴
- 2007年4月
- 24歳
- 大学卒業後、ソフトウェアの開発・販売業務を展開する会社に入社
3年半、法人営業を務める
- 2010年9月
- 28歳
- 情報通信サービス会社に転職し、5年間、サービス企画を担当
- 2015年8月
- 33歳
- 1社目で出会った彼と結婚
翌月、情報通信サービス会社を退職
- 2015年12月
- 33歳
- 旅行業界向けのITサービスを提供する会社に転職し、
コールセンター業務を担当
- 2016年5月
- 34歳
- 名刺管理システムを開発・販売するSansan株式会社に転職
法人向けに、受注後の運用コンサルティングを担当している
20代、理想の仕事には
出会えませんでした。
大学卒業後に最初に選んだのは、IT系のソフトウェア開発の会社でした。地元で製造業を営む父の影響もあり、商品の背景の部分に関わる企画の仕事をしたいと思ったんです。でも、配属されたのは法人営業。売れたらすぐに次の商品、次のお客さん、と効率化された業務フローの中で、導入後のお客さんのフォローができないことにもどかしさを感じました。それに、「やっぱり企画の仕事がしたい!」という思いもあり、異動できないか模索したものの、会社の方針は営業のまま。この会社で変われないのなら、他の会社で自分の望む仕事をしよう、と転職を決意したのは28歳のときでした。
2社目は「企画ができる仕事」という軸で探して、ネットワークを開発する情報通信サービスの会社に転職しました。希望通りの部署で、仕事はとても楽しかったのですが、気が付けば、稟議書や事業計画書ばかり作っている自分がいました。そしてある日、「あれ?これ、企画じゃないな」と気づいてしまったんです。
自分たちがいいと思った商品を企画したり、お客さんの求める商品を開発したりするのではなく、会社が決めたこと、株主と約束した商品の稟議を通すのが役目。5年間で、大量の稟議書を書きました。課長に提出して、戻ってきたものを部長に出す。そこで修正が入ったものをまた課長に戻して。違和感はありましたが、私は「マジメちゃん」だったので、それも仕事のうちだと思っていたんです。でも、そうして働いているうちに、体のちょっとした不調が続き、なかなか治らなくなってしまいました。自分が理想とする仕事に携われていないことが、思っている以上にストレスになっているんだと、そのとき初めて気づいたんです。
40歳になった自分は、
胸を張って仕事をしたい。
ちょうどその頃、結婚が決まったのも、今後の仕事を考えるきっかけになりました。当時、帰りは毎日深夜近く。こんな働き方で結婚生活は成り立つんだろうか?と不安になって。結婚したらいずれ子どももほしい。そう考えて、40歳の自分を想像したんです。子どもに「お母さん、どんな仕事してるの?」って聞かれても、自信をもって自分の仕事のことを話せないな…。そう思ったときに、この仕事を辞める決意が固まりました。
仕事を辞めたら、嘘のように体の不調が治りました。でも、数カ月のリセット期間の後、これからの仕事を考えたら、急に不安になりました。33歳の新婚女性に、仕事なんてあるんだろうか。焦りで「企画の仕事をしたい」という軸を見失い、旅行業界向けITサービスを提供する会社の「コールセンターの業務改善」の求人に飛びつきました。定時の18時で帰れるということと、「業務改善」という新しい仕事に惹かれて。でも、実際の仕事は、想像とは違っていました。
入社後はひたすらコールセンターの仕事。小さな会社だったので、リソースが足りず、業務改善まで手が回らないんです。1ヵ月経って、「あれ、もしかして…ずっとこのままかな?」と思いました。一度社長と話をしたのですが、状況は変わりません。「会社にも事情があるし、仕方ないよな」と思っているうちに、また1ヵ月が経ちました。そこで、待てよと。自分の人生だよなって。やっぱり自分のやりたい仕事をしよう。理想とする仕事をしよう。そして、4回目の転職を決意しました。
回り道をしたけれど、
すべて無駄じゃなかったと思う。
私が理想とする仕事は、お客さんの方を向いて商品づくりに携わること。企画という仕事を目指しながら、これまでの社会人人生、たくさんの回り道をしてきたおかげで、私にとっての大切にしたい軸はこれだ!と気付くことができました。
そして今、私はSansanという名刺管理システムを開発する会社で、お客さんがサービスをスムーズに使うための、導入後の運用設計に携わっています。最前線でお客さんの声を聞けて、それを開発者に伝えると、次のリリースで反映されることもあります。企画職ではないけれど、サービスづくりに関われているし、何より、「あぁ、私ちゃんと今、お客さんと向き合えているなぁ」って実感できます。仕事の忙しさは、2社目のときと変わりません。でも、今は心も体もとても元気。しんどさやつらさの原因って、時間じゃなくて仕事の内容なんだと改めて気付かされました。「お客さんの方を向いて商品づくりに携わる」という軸をぶらすことなく、これからもっと、この会社で、主体的にいろんな仕事に挑戦していきたいと思っています。
いろんな人に迷惑もかけたし、企画とは異なる業務をたくさん経験したけれど、全部無駄じゃなかった。今はそう思っています。営業を経験したおかげで、お客さんの立場や求めていることが理解できます。稟議書をたくさん書いたおかげで、会社の仕組みを知ることもできました。回り道をしたけれど、これまでの経験が今の私に繋がっています。だから、もし仕事で悩んでいる若い人がいたら、「経験したことに無駄はないよ!」って言いたいです。
Q&A
- 転職をする際に、気をつけたことはありますか?
-
3社目は、年齢などの焦りから自分の軸を見失ってしまったので、自分が本当にやりたい仕事や働く上で大切にしたい軸を見失わないよう意識しました。また、4社目は内定をもらったあと、会社にお願いして実際に一緒に働く部署の上司と面談させてもらったんです。前回と同じ失敗をしないよう、業務内容を確認しておきたいと思いました。おかげで、今は想像した通りの仕事ができています。
- 家事と仕事の両立で意識していることは?
-
週末におかずを作り置きして、毎日彼のお弁当を作っています。これだけは欠かさないようにしようと決めました。お弁当づくりは、私の中の「免罪符」なんです。他の家事がきちんとできなくても、お弁当を作っているから許そう、って思える(笑)。お弁当づくりを始めてから、すぅっと気持ちがラクになりました。
- 夫婦の家事分担はありますか?
-
彼はとても協力的で、もともと家事が私の仕事だとは思っていないんです。役割分担は特に決めていないけど、結果的に、私はゴミの日を知らないし、洗濯物も彼のほうがたくさん畳んでくれています(笑)。あと、家事は食洗機やルンバにも頼っています。少しずつ肩の力を抜いて、甘えることができるようになっているのかも。
- もし子どもを産んでも、仕事は続けますか?
-
続けたいです。いま、同じチームに二人妊娠している女性がいますが、上司が仕事をコントロールしているのも見ているし、みんな出産後に復帰しています。女性が働き続けるための制度も柔軟で、子どもを産んでも働けるなって普通に思える会社ですね。
- 趣味はありますか?
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体を動かすことが好きで、東京マラソンを2回走りました。今は寝る前にヨガをしています。あとは、旅行かな。飛行機に乗るのが好きで、多いときは年に4回くらい海外に行っていました。最近は彼と一緒に国内旅行にハマっています。この前、結婚記念日に彼がシークレットで宿を予約して温泉に連れて行ってくれたんです。でも、車のナビで水上温泉だってすぐに分かっちゃったんですけど(笑)。
- 幼い頃は、どんな子どもでしたか?
-
兄ふたりと弟ひとりの4人きょうだいの中で育ったので、かなりやんちゃだったと思います。母は、仕事も家事もカンペキにこなす人でした。新卒の自己紹介で、「どんな自分になりたいか書きなさい」と言われて、「お父さんみたいな旦那さんと結婚して、お母さんみたいな母親になって、自分みたいな子どもを産む」って書いたのを覚えています。20代半ばにもなって、だいぶイタいですよね(笑)。でも、それくらい両親のことは尊敬しているし、影響を受けています。