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CASE 005
やりがいある仕事と、
妻と、猫と、家がある。
この普通の生活が、
いまの私の幸せです。
松坂
(まつさか)
高嗣
(たかし)
34歳
- <前職>
インターネットサービス会社
システムエンジニア
- <現職>
株式会社リブセンス
システムエンジニア
経歴
- 2005年4月
- 23歳
- 大学卒業後、独立系システムインテグレーターへ就職
システムエンジニアとして、主に公共系のプロジェクトに関わる
- 2010年3月
- 28歳
- リーマンショックを機に、大手インターネットサービス会社へ転職
海外向けECサイトで、現地事業者との提携プロジェクトにおけるエンジニアリーダーを務める
- 2011年11月
- 30歳
- 国内向けのサービスに携わるため、株式会社リブセンスへ転職
自らインフラ部門を立ち上げ、リーダーとしてインフラの構築を行う
- 2013年5月
- 31歳
- 6年間付き合った彼女と結婚、土地を購入し家を建築
現在はインフラ部門のリーダーを離れ、新しいミッションを模索中
「今の働き方で、共同生活はできません。」
新卒で入社した会社は独立系のSIer(システムインテグレーター)。大手の下請けで、ずっとクライアントのシステムを作っていました。学生時代は、「大学を出たら働くもの」という意識しかなく、たまたま推薦を受けた会社に就職。でも5年間働いて、「今度は自らサービスを作りたい」と、ECサイトを運営する大手IT企業への転職を決意しました。
転職して一年経った頃、海外ECサイトの大きなプロジェクトでエンジニアリーダーを務めることになりました。会議で一日の予定がほぼ埋まり、定時を過ぎてから終電までが開発の時間。土日も出社して溜まった仕事をこなすような生活でした。震災の影響で予定通りに作業が進まず、加えて、既存サービスの夜間メンテナンスや英語の勉強もありました。たくさんのことを同時並行で進めなければならず、毎日追い立てられるように仕事をしていたけれど、忙しくもすごく充実した毎日を過ごしていたんです。
でも、ある日、当時付き合っていた彼女から「今の働き方で、共同生活はできない」と言われました。夜も休日も会社の携帯電話を持ち歩いている状態に、「これで休みとは言えないんじゃないの?」と。言葉は違うけれど、「仕事と私どっちが大事なの?」と言われたんだと気付き、ハッとしました。
人は、人生のそのときどきで、大切にするものや優先順位が変わる。今、自分にその転換期がきているのだと思いました。そして、プロジェクトの完了と同時に2度目の転職に踏み切りました。
大規模なサービスの開発より、
目の前の人が喜ぶことが嬉しい。
自らサービスをつくり、それを使ってもらうことで価値を生み出す。そんなWebサービスという業態に面白さは感じていたので、次も同じ業界を選びました。そして出合ったのが今の会社。まだまだ小さいけれど、社会になくてはならないサービスを作りたいと考える社長のビジョンに共感しました。
しかし、入社後しばらくプログラマとしてサービス開発をする中で、次第に社内のインフラ面の層の薄さが気になり始めました。一人のエンジニアが全てを担当していて、他の人が全く理解できていない。その人がいなくなると会社全体のサービスが止まってしまうような状態でした。会社が大きくなるにつれ、一人だと手が回らなくなってくる。今は大丈夫でも、近い将来、必ず限界がくると思いました。
「組織化した方がいいんじゃないか。」そう上司に主張したら、リーダーとしてインフラ部門を立ち上げることになって。管理職もインフラも未経験でしたが、なんとかなるものです。2年かかって、ようやく形になってきました。
インフラは裏方の仕事。でも、意外とおもしろい。それは、仕事の先にいる相手が、自社のサービスを使ってくれる100万人の誰かではなく、目の前にいる開発者や社員だからだと思います。困っている人がいたら解決策を一緒に考え、自分の技術や知識を使って改善する。それで喜んでもらえたら、やっぱり嬉しいんですね。しかも、その困りごとが起こる前に、準備して、対処できたらすごくかっこいい。自分のモチベーションは、そんな単純でシンプルなところにあると、この仕事を通して気付きました。
大切なのは、
自分が必要だと思える仕事ができること。
正直な話をすると、仕事をしている時間は昔とそれほど変わっていません。休日出勤はなくなったけれど、終電で帰ることもあれば、インフラ担当なので時に24時間365日の対応も必要になる。妻からも相変わらず「家でも仕事ばかりだ。」と文句を言われています。
けれど、私の中で仕事に対しての納得感があります。会社という目的を持った組織の中で、自分が必要だと判断した仕事を自分でやり遂げ、それが会社の中で機能している。そういうシンプルな働き方が実現できているのはありがたいですね。
インフラの体制づくりも一段落し、次のリーダーに引き継ぐことができました。だから、次は何をしようかと考えています。会社は入社した頃とは大きく変わり、社員数も3倍近くに増えました。良くなったところもあれば、まだまだ足りないところもある。だから、もう一度、成長した今の会社の課題を見つけ、それを補うように動いていきたい。それが自分にとって、忙しくても楽しめる仕事との関わり方だと思っています。
進学、就職、転職と、深く考えて選択してきたことばかりではないけれど、いま振り返ってみて、それほど間違ってはいなかったと思っています。仕事も充実しているし、結婚して家も建てることができました。猫だっています。人によって、その時その時の幸せの形は違うけれど、私はいま、この生活に満足しています。
Q&A
- 休日はどんな風に過ごしていますか?
-
妻と2人同じ空間にいて、お互いに好きなことをしていることが多いですね。私が本を読みながら、妻はギターを弾いたりして。愛猫のニュートンも一緒にいます。
- お気に入りの本はありますか?
-
たくさんありますが、よく読み返しているのは、開高健の『輝ける闇』『夏の闇』『花終る闇』の三部作。中学のときから繰り返し読んでいます。定期的に読まなければならない気持ちになる本です。
- 奥様との共通の趣味はありますか?
-
お酒ですね。平日はたまに一緒に晩酌して、休日も家やお店で飲んでいます。最近はもっぱら2人とも日本酒。もともと私が好きで妻に薦めました。「おでんに合うなぁ」とか「次の猫の名前はガリレオはどう?」なんて会話をしながら、眠くなるまで飲んでいます。
映画やアニメや本はお互い好きだけど、ジャンルが違って。でも、ジャンルが違っても、趣味が違っても、教え合ったり一緒に楽しめたりするので、退屈しないです。
- 家を建てる場所は、どうやって決めたんですか?
-
たまたま「鶴ヶ島」になった、という感じですね(笑)。予算内で家を建てられるかを探していたら、鶴ヶ島の建築士の方がやっている『under 2000 project』というものを知って。実際に来てみたら、地元の街並みと変わらなくて、落ち着きました。
妻は、近くの川越の街が気に入っているので、その点でもよかったなと思っています。
- 松坂さんの今後の目標を教えてください。
-
私も川越の街が好きなので、30代のうちに川越にワーキングスペースとして古民家を借りて、仕事をしたいなと思っています。幸い、私の仕事はどこでもできるので、本格的にリモートワークができる状況になったら、独立するか、在宅勤務っていう制度を自らつくってもいいかな、と。重要文化財の古民家がオフィスって、なんか楽しそうですよね。
- 最後に、奥さまから旦那さんにひと言お願いします!
-
とにかく、身体を壊さずに働いてくれたらいいですね。あとは、家が遠いのもあるけど、もう少し早く帰ってくる日を作ってくれると嬉しいです(笑)。