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CASE 003
29歳で、6回の転職。
遠まわりしたけれど、
進みたい道が
見つかりました。
村井
(むらい)
庸介
(ようすけ)
29歳
- <前職>
大手ソーシャルゲーム企業
人事
- <現職>
外資系コンサルティング企業
経営コンサルタント
経歴
- 2008年4月
- 22歳
- 大学卒業後、日本大手のコンサルティング企業へ入社
- 2011年4月
- 25歳
- 経営コンサルとして3年間務めたあと退職
広告を主体とする情報サービス企業へ入社
- 2011年11月
- 26歳
- 初めての営業職を経験したが、体調不良により退職
- 2011年12月
- 26歳
- ソーシャルゲームを主軸とするIT企業へ事業企画として入社
- 2012年8月
- 26歳
- 役員をしている友人から引き抜かれ、
約80名のベンチャーIT企業へ経営企画室の室長として転職したが、
8ヶ月後に退職
- 2013年5月
- 27歳
- 大手ソーシャルゲーム企業へ事業企画として入社
- 2014年7月
- 28歳
- 外資の大手コンサルティング企業へ6回目の転職
経営コンサルとしてM&Aのサポートなど、
現場まで入り込んだ大掛かりなプロジェクトに携わる
「できる」と思っていた自分に訪れた、
初めての挫折。
最初の転職は25歳のとき。新卒で入社したコンサルティング会社での仕事に違和感を覚えたことがきっかけでした。
どれだけ新規事業の立ち上げ支援や市場分析などをしても、その事業が成功したかを見届けることができない。調べたこと以上の具体的なアドバイスもできませんでした。
学生時代にインターンシップに参加し、「コンサルって面白いな」と感じて決めた就職先だったはずが、物足りなさを感じてしまって…。もっと深く現場に入り込んだ事業企画がやりたい!と考えるようになったんです。
転職先として選んだのは、大手情報サービス会社でした。数多くの新規事業を生み出してきた風土とネームバリューに惹かれたのが選択理由です。
事業企画での選考でしたが、最初は営業から。これまでの頭を使って「考える」仕事から、自分の足で動き商品を「売る」仕事へと大きく変わりました。戸惑いはありましたが、自分は「できる」と思っていたし、「営業で結果を出して新規事業にいくか」くらいのつもりでいたんです。
でも、実際は全然売れなかった。成果が出せないまま次々に大きな目標が降りてきて、上司からは毎日詰められる。少しずつやる気が出なくなり、入社から4ヶ月経った頃、ついに会社に行けなくなりました。誰にも会いたくなくて部屋に籠って過ごす日々。そのときは25歳にして本気で「俺、もう終わったな」と思いましたね。
そして休職ののち、退職。ここで働きたい!と強い思いで決めた会社だったのに、歯を食いしばって頑張ることができず、たった半年ほどで投げ出してしまいました。
気がつくと、30歳を前に6回の転職。
もう一度自分の得意な仕事をしよう、とIT企業2社で事業企画として働きました。そして、5回目の転職に踏み切ったのが27歳のとき。5社目は大手ソーシャルゲーム企業で、さまざまな業界から優秀な人が集まる環境に魅力を感じ、ここで自分の力を磨きたい、と考え決めました。
しかし、事業企画として入社したものの、すぐに人事部へ異動となり、早期退職制度の運用や、役員報酬の設計などを任されました。
1年ほど人事の仕事を経験して、すごく勉強にはなったけれど、このまま人事のスキルを磨いていくべきなのか、疑問に思い始めました。30歳を前にこれからのキャリアを考えると、自分が伸ばしていくべきなのは、やはり経営戦略や事業計画を立てる力ではないか、と思うようになったんです。
そして、もう一度、自分の軸となる力を鍛えられるコンサル企業で経験を積もう、色んな業界を見て自分の価値を発揮できる場所を見つけようと、転職を決意しました。
6社目となる今の会社は、外資系のコンサル企業。経営コンサルとして現場まで入り込み、戦略を立てた後のサポートまでを行えるようになりました。6社目にして、学生時代に選んだコンサル業にもう一度就く。まさに原点回帰ですね。
自分の弱さも転職経験も武器にして、
軸となる力を磨く。
29歳にして6回の転職。一般的に見ても多いと思うし、安易な転職が良いとは思っていません。結果を出すことへの焦り、判断の甘さ、自分の能力への過信―。転職を重ねたことには、さまざまな原因がありました。
でも、後悔はしていません。実際に経験することでしか得られないものがあります。特に、人生初の営業で思うようなパフォーマンスを発揮できず、自分にも苦手なことがあると知ったこと。そして自分自身の弱さを知ったことは、大きな学びでもありました。あのときから「転職してもそうそうすぐにはうまくいかないよな」と思えて、気張ることがなくなりましたし、人の痛みも分かるようになったと思います。
自分の適正は何か、自分は何がやりたいのか、最初から明確に分かっている人ばかりではありません。実際に経験してみて「違うな」と思えば、次のことにチャレンジすればいいんだと思います。やりたいことや判断の軸がそのときどきでブレることは、悪いことじゃない。むしろ、経験もしていないのに、間違った軸に固執してしまうほうが怖い。僕自身、営業や人事の仕事を経て、改めて自分の得意なこと、極めたいこと、事業企画という“軸”を見つけることができました。
さまざまな実体験によって腹落ちし、心からそのキャリアがいいと思えることが大事なのではないでしょうか。僕はいま、心から事業企画の仕事が好きだと思っています。
これからの目標は、30代で一つの事業を成功させたという実績をつくること。むしろ、それを作れるかどうかが勝負だと思います。先のことはまだ分かりませんが、今はここで事業企画の力を磨き、その強みでこれからも勝負したいと思っています。今年30歳。ここから、僕の新たな道が始まります。
Q&A
- これまでの転職経験を、面接ではどのように伝えていますか?
-
もちろん正直に話しているので、最初はやはり、「どうせ辞めるんでしょ」と思われることも多いですね(苦笑)。
でも、2社目以外は、経営者や事業責任者のそばで事業立案などのコンサルティング業務に近いことをしてきたので、その経験や身に付いたスキルを話すようにしています。“僕”という人物が何をやってきたのか、ということを話すと、面接官も理解してくれることが多いです。
- 転職経験が多いことに不安はありますか?
-
あまりないですね。過去は変えられないですしね。
でも、これからはそう簡単にいかないことも理解しているから、今はしっかりと実績を作ることを常に意識しています。
- 仕事の息抜きは、どうやってしていますか?
-
平日の夜は、ほぼ飲みに行っているので、そこでリセットしています。
幸い、家の近くに商店街があるので、飲み屋に困ることはありません。行きつけは、近くの立ち飲みイタリアンと家の前にある魚が美味しい居酒屋さん。21時以降はさしみが半額になるので、それを狙って行っています。
お酒はもっぱらビールと日本酒。同僚と2人でビール24杯!なんてこともありました。
- 休日も、お酒が中心ですか?
-
休日も…ほとんど飲んでますね(笑)。たいてい友人たちと集まって飲んでいます。
あとは、NPOの活動や、月に2〜3回は勉強会にも参加しています。この前は、3ヶ月間のプチMBA講座にも通いました。色んな人とディスカッションしたり、話を聞いたりすることで、自分にはなかった考え方や知識を吸収できて刺激になります。
- NPOではどのような活動をしているのですか?
-
大学生のキャリア形成支援をしています。自己分析などの講座だけでなく、ビジネスコンテストなど、自己理解を深める機会もつくって運用しています。僕自身、就活生の時に軽い気持ちで参加したのがきっかけ。それから約8年、ずっと活動を続けています。
去年までは、メンターとして学生のフォローやイベントの講義などをしていましたが、そろそろ僕が老害になりつつあるかな…と(笑)。
でも、何かしらの形では関わっていたくて、今は後輩の育成や組織力の強化について考えています。人材育成とか組織のこととかを主体的に考える機会は会社では少なかったので、そういう経験を積めるのは、勉強になりますね。