CASE 001

専門学校を卒業して最初に選んだ会社は、ITベンチャー企業でした。将来のために何かスキルを身に付けたくて、何でもやらせてもらえる会社で働いてみようと思ったんです。

2年目の頃、お客様と話をする中で気付いたサービスの改善案を上司に提案していたら、「そんなに言うなら、新しいサービスを作っていいよ！」と言われ、一人で新規事業企画をやることになりました。
それから新しいサービスを作っては営業して、また作って…を繰り返していたら、今度は「来月からは上海で、何かサービスを作ってきて！」と言われて…。3週間後にはスーツケース1つ持って上海に渡り、新しいビジネスを考えていました。

寝る間もなく働いていたけれど、目の前の仕事を120％の力でやりきる毎日が楽しくて、やりがいも感じていました。しかし、上海で「これを成し遂げたい！」というバイタリティ溢れる人にたくさん出会って。それなりに結果は出してきたけれど、自分には目標が何もないことに気づきました。
自分がやりたいことは何か、それを見極めたくて、視野を広げるためにも2年間は好きなことに挑戦しようと決めたんです。

フリーランス、語学留学と2年間で色々な経験をしましたが、やっぱりWEBサービスに携わりたくてWEBサービスを軸にイベント事業も展開している会社へ転職しました。イベントなどで直接ユーザーの声を聞く機会が増え、「生活がより便利になるような新しいサービスを作りたい」と目標も少しずつ見えてきました。

その後、実際に新規事業も企画させてもらえたんですが、失敗してしまって…。一番の原因は、自分が個人プレイヤーすぎたことでした。結果を出すことに一生懸命になりすぎて、周りの人の気持ちやモチベーションを考えず、自分の理想ばかりを押し付けてしまっていたんです。

それから会社を辞め、仕事や働き方について迷っている時に、転職エージェントを通してネットマーケティングと出会いました。インターネットの広告代理店です。
WEB広告も営業も経験していたので、「ここで新しいことは出来ないのでは？」と入社を迷っていました。そんな時、父に言われたんです。「新しいことをやりたいという気持ちを持ち続けていれば、必ずチャンスは巡ってくる。その時のために、今は自分に足りない力を身につける期間として、少しじっくりやってみたらどうか」。

心にガツンと響きました。それから、仕事や自分とじっくり向き合える環境で今できることを着実に積み上げることが、将来のために必要なんだ、という考えに変わったんです。

父親に背中を押されてネットマーケティングに入社し、3年が経ちました。様々なWEBプロモーションに関わり、長期的に成果を積み上げることにやりがいも感じています。
うまくいかないこともありますが、こだわりを強く持ちすぎず、考え方やスピードを変えてみることが少しずつできるようになりました。一番苦手だった関わる人を動かしたり巻き込んだりする力も、チームを持ち、気持ちを考えながらメンバーと向き合う努力をすることで、少しは身に付いたと思います。

今も、新しいWEBサービスを作りたいという気持ちは持ち続けています。でも、やみくもに一人で突き進むのではなく、スピードを少しゆるめ、じっくり自分と向き合える時間や心のゆとりをつくる。自分ができることを積み重ねながら、必要な力を磨く。そうすることで、相手の気持ちを汲む余裕もでき、人に対して怒ることもなくなりました。

やりたいことを実現するために、少しスピードを落とすことも必要なんだと、今改めて実感しています。そうして少しずつ自分に足りない力を身につけて、今度、社内の新規事業コンテストがあったら、20代より成長した自分で挑戦しようと思っています。